台湾映画の「悪女」をネットフリックスでみた。
悪女
【引用元】3人殺害容疑 - "魔性の悪女"の顔がこちら | 悪女 | Netflix Japan - YouTube
ニュース番組のキャスターは、父親の婚約者が殺意を秘めた詐欺師なのではと疑い始める。 婚約者の正体を暴こうとする彼女はやがて、途方もない危険へと引きずり込まれてゆく。
元ネタはあの首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗である。
「痴愚神礼讃」のパロディ小説のように感じる。
シュウランの容貌も木嶋佳苗そっくりであり、被害者に炭が使われていることも。
わたし自身はシュウランの料理のうまさや、やさしさ、母性と引き換えに「命」と「お金」を要求する姿はもっともであると思った。最初はシュウランに対する不快感でいっぱいであるリメイ。性の話を大っぴらにするシュウランに嫌悪感すら覚えている。
たぶん、わたしは生い立ちからしてもシュウランと同じ考え方であるとおもうし、リメイは親の愛を受けたからこそ「配偶者」の愛を受けるにはおぼつかなすぎる。
シュウランは、殺す必要がない。そこが争点であった。
美しい料理が運ばれ、天女のようにふくよかなシュウランが料理をし、身の回りのことをしてくれる。男やもめは天国のように感じるのだろう。
シュウランは男を憎んでいるかはさておき、男というものを冷静な目で見ている。
これこそがシュウランが美人でなかったからこそ習得できた技である。
究極に男が最後に求めるものは何か。
どうして、女は家に縛られ抜け出せないのか。シュウランは知っている。
男が求めているから。ただ、無償でそれを差し出さないのがシュウランだ。自分を安売りしない。
ラストのリメイの料理
この物語はラストで、リメイの心情の変化がよく見て取れる。
わたしは料理を作るのは好きだが、男性のために作るのは嫌いである。
そして自分が男性なら、女性の料理に手を付けないであろう。何が入っているのかわからないのだから。女性の子供への虐待でも洗剤などを料理に混ぜたりすることがある。
動機ができてしまったリメイ
リメイは悟っていった。シュウランには「動機」がないと言っていたが。
動機なんで十分にあるだろう。すべての女が持ち得る動機だ。男は本当に弱い。女に依存し精神的にも依存する。母性が見える女性には平気で甘え、そのうちに暴れだす。独占したがる。結婚をしたがる。
そして横暴になり手が付けられなくなるのだ。
動機なんて十分である。
この映画でシュウランのそのあとなど消化不良になっている人もいるようだが、リメイが料理を始めたことでもう明白だろう。悪女は伝染するのだ。
追記はネタバレになるのでお気を付けください。
最後にリメイが魚をさばくシーンがある。
わたしは素手でさんまの内臓を抉り出すのが好きだった。イライラを解消できるからだ。生臭くなる手を見ながら、食べる人を憎んでいたかもしれない。
キッチンに無理やり立たされたヤングケアラーとして思い出す。
料理は、確かに武器になる。おいしければおいしいほど。そしてどんな味を男性が好むのか熟知すれば。その陰には、鳥かごにいる女性たちの姿があったのかもしれない。