ダムの下に
犬鳴村
臨床心理士・森口奏の周囲で、あるときから次々と不可解な出来事が起こり始める。奇妙なわらべ歌を口ずさみ気がふれた女性、突然消息を絶った兄弟、相次いで見つかる変死体。そしてそれらの現象の背景に、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」の存在が浮かび上がる。
都市伝説でも有名な、あのトンネルをネタにしたものであったが、監督は調べすぎたり、変な偏見でもって映画を作成することなく淡々とホラーとして撮影してくれたことに安堵した。
表現もあるのだろうけれど、描写とか、新たな偏見を産む映画であってほしくないと思うので肩透かしを食らった観客もいるかもしれない。
私は大満足だし、世界観にも浸れて楽しめた。
人間の業の深さを垣間見えた。
ホラーマニアの中には「真実」を知りたいものもいるのだろう。
嬉々として語れるものではないから、口をつぐみ、霊能者はそんな場所には近寄らず撮影を中止する。
世の中、笑い事ではないこともある。
監督は最期までホラーはホラーとして作ってくれてうれしかった。